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精神看護専門看護師は専門看護師の中で、がん看護専門看護師の次に人数が多い分野です。

それは精神疾患を診断された患者のケアだけにとどまらず、あらゆる診療科において必要とされる「精神看護のエキスパート」だからにほかなりません。

このページでは、精神看護専門看護師の仕事や役割、なり方から転職事情まで様々な情報をご紹介いたします。

2つのサブスペシャリティー

精神看護専門看護師は2つのサブスペシャリティー（専門分野）に分かれます。

特に後者は「リエゾンナース」として、最近注目度が高まってきている分野であり、活躍の場は多岐にわたります。

精神科看護専門看護師

精神科病院や病棟において、精神疾患で療養中の患者に対するケア領域を扱う看護師です。

総合失調症やうつ病・躁うつ病、認知症やアルコール依存症など様々な病状を持つ患者を看護します。

精神科病院における病棟の種類は次のとおりです。

リエゾン精神看護専門看護師

一般病院の中で、身体疾患を持った患者やその家族への心のケア領域を扱う看護師です。

「リエゾン」とはフランス語で「つなぐ」という意味があり、「精神看護」と「身体看護」の調和に加え、「患者とその家族」と「医療従事者」との心の橋渡しを行う役目も担っています。

精神看護専門看護師の役割

専門看護師は全分野共通で、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究という6つの役割を担っています。

この6つの役割を、精神看護専門看護師の職務にそれぞれ落とし込むと次のようになります。

患者に対して水準の高い看護を提供することはもちろん、臨床現場のチーム医療の取りまとめ・調整役、さらには精神看護医療の発展のための講義や研究、提言と幅広い職域になっているのが特徴です。

精神看護専門看護師の仕事・活動例

精神看護専門看護師は実際にどのような仕事をしているのでしょうか？精神看護専門看護師のとある1日の流れを記載しました。

精神看護専門看護師の登録者数は265名（2017年2月時点）おり、がん看護専門看護師に次ぐ多さとなっています。

都道府県別に内訳を下記に記載いたしました。現状、1人も在籍していない県も複数あり、まだまだ不足している状況です。

がん看護専門看護師の都道府県別登録者数

これに海外在籍者1名を加えた計265名が精神専門看護師全体の登録者数となっています。

精神看護領域の専門職として、「精神看護専門看護師」の他に「精神科認定看護師」が存在します。

この2つの資格に関し、どのような違いがあるのでしょうか？

「精神科認定看護師」は日本精神科看護協会が認定を行う

精神科認定看護師はCEPN（Certified Expert Psychiatric Nurse）とも呼ばれています。

認定看護師と聞くと、日本看護協会が認定する制度を思い浮かべますが、実は異なります。日本看護協会の認定看護師には、「精神看護」の分野は存在していないのです。

精神科認定看護師を認定しているのは、日本精神科看護協会という社団法人です。

精神科認定看護師1995年に創設されており、1994年に発足した専門看護師制度の翌年ということになります。

「精神看護専門看護師」はより研究的な視点が必要

精神科認定看護師が果たす役割は下記のように定められています。

実は精神看護専門看護師と職域がかぶる点も多く、業務内容にさほど大きな違いはありません。

但し、精神看護専門看護師にないのが「研究」の項目です。精神科認定看護師は精神看護専門看護師に比べ、やや臨床現場よりの資格であるといえるでしょう。

精神科認定看護師になるには？

参考までに、精神科認定看護師のなり方についてご説明いたします。

研修資格試験を受験する必要がありますが、それには下記の条件が付きます。

その後、研修会を受講、実習で認定試験を受ける流れとなっており、研修期間はおよそ2年を要します。

詳しくは、日本精神科看護協会のご案内をご覧ください。

専門看護師の資格を取得すると、お給料はどのように変わるのでしょうか？

一般的には資格手当が付く

病院により対応は異なりますが、通常は資格手当が付くようになります。

手当の相場は毎月5,000〜30,000円と幅があります。

一般的な病院であれば5,000〜10,000円程度が多く、各分野に特化した専門病院であれば20,000円以上付く所もあります。

現状では待遇が変わらない人も多い

一方で、まだまだ専門看護師に対する評価は浸透していないのも事実です。

下の図は日本看護協会が2012年に実施した調査ですが、専門看護師の資格取得後も約6割の方が「昇給・昇格がなかった」と回答しています。

※2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査 日本看護協会より

現状、様々な医療現場で専門看護師は活躍しており、そのニーズを考えると、手当の相場は今後もう少し上がっていくのではないかと推測します。

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専門看護師になるには、日本看護協会の認定試験に合格する必要があります。

しかしながら誰もがこの試験を受けられるわけではありません。

試験を受けるには、次の3つの条件を満たす必要があるのです。

この3つを経て、試験にチャレンジ出来るわけです。

ちなみに試験の合格率は2016年実績で、78.7％（日本看護協会の発表より）となっています。

看護系大学院で学ぶカリキュラムについて

専門看護師になる過程で最もハードルとなるのが、看護系大学院での単位取得の部分です。

条件の【3】にある「所定の単位」とは、「総計26単位または38単位」であり、単位取得のために2年間大学院に通わなければいけません。

それでは、看護系大学院において、精神看護専門看護師になるためにどのようなカリキュラムを学べば良いのでしょうか？この点についてこれから解説していきます。

専門看護師を目指すうえで必要な全分野の共通科目

下記の中から選択し、8単位以上を取得します。

精神看護の専攻分野共通科目

下記4つの分野の科目を必ず含み、12単位以上を取得します。

精神看護の専攻分野専門科目

1領域以上を6単位程度まで取得します。

実習

自らの役割開発・論文の作成などをあわせ6単位以上を取得します。

以上のように学ぶべきことが多く、講義を聞くためにも在学中は、仕事との両立が難しくなっていきます。

そのため、休職や退職をする、もしくは理解のある病院に転職してから入学するといった選択肢が取られます。休職や退職の際は通学期間中の経済的事情を考慮しなければいけません。

理解のある病院というのは、勤務形態を配慮してくれたり、なかには奨学金を出してくれる所もあります。

「精神看護専門看護師になるまでの職場選び」は非常に重要な要素といえます。

その際の職場選びには、当サイトでも紹介している看護師専門の人材紹介サービスを利用すると良いでしょう。

登録後は、専任のキャリアコンサルタントが条件に見合った求人を案内してくれます。

お伝えしたように、精神看護専門看護師になるためには看護系大学院に入り、精神看護の専門領域について学ぶ必要があります。

しかしながら、全ての大学院が精神看護についての教育を行っているわけではなく、学べる大学院に入学しなければいけません。

現在国内では精神看護について学べる大学院が41校存在しています。

対象となる大学院の一覧を記載しましたので、精神看護専門看護師を目指している方は、どの大学院なら通えるか参考にしてみてください。

北海道・東北地方

関東地方

中部地方

近畿地方

中国地方

四国地方

九州・沖縄地方

現在、精神看護専門看護師が所属している機関は多岐にわたります。

精神科病院や総合病院の精神科、精神科クリニック以外でも、「リエゾンナース」として一般病院や福祉施設など様々な施設で必要とされているためです。

精神看護分野専門看護師の所属施設別登録者数（2017年3月時点）

このように、多様なニーズがあることから、精神看護専門看護師の求人は常時豊富にあります。

人数もまだまだ少ないので売り手市場ともいえる状態です。

求人を探す際は、当サイトでも紹介している看護師専門の人材紹介サービスを利用することで、プロのキャリアコンサルタントが最適な求人を案内してくれます。

精神疾患の患者はもちろん、他の身体疾患を持った患者の方に対しても病気期間中の心のケアというのはとても重要です。

その心のケアの領域において、必要とされている人材が「リエゾンナース」なのです。

患者にとっては、医師と同じくらい重要な存在といっても過言ではありません。

その他にも、他の医療スタッフへの教育や精神看護分野の研究など職務は広く、忙しくも充実して仕事に取り組むことが出来るでしょう。

資格を取得することで、看護師としてのキャリアがより一生輝かしいものになることは間違いありません。

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